快眠アドバイス『羽毛ふとんの選び方2016』

 

 

今年は秋を通り越して冬が到来した気がします。体感差もあり余計に寒いですよね。冬の準備はお済ですか?


さて、冬用の掛ふとんとして一般的になりました羽毛(ダウン)を使った掛ふとんですが、一般的になってしまった為に「羽毛ふとん」という表記で実に様々な種類・価格のものが販売される様にもなりました。


羽毛ふとん


このBLOGでも何度か羽毛ふとんに関して取り上げて来ましたが、今年の羽毛ふとん市場の動向を踏まえた選び方をまとめようと思います。


まず羽毛ふとん選びの大前提をおさらいです。


その製品を「羽毛ふとん」と表記するには基準があります。水鳥から採れるどの部分の毛を何%使用するのかで決まるのですが、羽毛ふとんと表記するには胸の部分の毛を50%以上使用していればOKなのです。


胸の部分の毛がいわゆる「ダウン」であり、タンポポの綿毛のような形をしています。下の画像の左側です。右側が羽根部分の毛で「フェザー(スモールフェザー)」と呼び区別しているのです。


ダウンとフェザー


この羽毛ふとんの表記に関する基準は選び方の大前提として覚えておいて下さい。


さて、羽毛ふとん選びの際、少し前まではこのダウンの混率(ダウン率)が一番の目安でした。


通販やホームセンター等で安価に売られている製品が大体50%~70%、チェーン展開している様な寝具小売店が80~90%、百貨店や専門店が90%以上の羽毛ふとんをメインに品揃えしていましたね。


そして近年、羽毛ふとんが広く普及した事とネットの発達によって情報が簡単に手に入る様になり、このダウン率の仕組みが知れ渡った結果、羽毛ふとんというネームバリューだけでは簡単に製品が売れなくなりました。その為、どのお店(媒体)でもダウン率の良さを前面に出し始めています。


ただし、混率の良い、質の良いダウンを単純に使えば当然価格が高くなります。更に羽毛ふとんの原材料価格は一時期に比べて相当値上がりしました。製品価格は高くなっています。きちんとスタッフが接客を行う様なスタイルのお店ならまだしも、お客さんが自由に選んで買う様なスタイルのお店(ネット通販等も含む)では中々売れません。


そこで製品価格を下げる為に、中身のダウンとは違う部分でコストカットが図られるのです。更に、今年は産地偽造にも踏み込まないといけません。今春に報道された様に、中国産の羽毛をヨーロッパ産と偽って流通されている実情があります。


今年、2016年の羽毛ふとんの選び方としてポイントに挙げたいのは、このコストカットに関わる3点とネットや通販に関係する1点の計④点です。この内①と②は昨年と同じですので、飛ばしたい方は③からお読み頂いても構いません。


羽毛ふとん2016年11月


●その①「側生地」

原材料の価格高騰はなにもダウンに限ったことではありません。通常の羽毛ふとんの側生地に使われる綿も同じく価格が高騰しているのです。その為、綿にポリエステルを混ぜたり、完全にポリエステルだけで作った側生地を使用して製品価格を下げようとするのです。


しかし綿の側生地を使用しないと吸湿性が著しく悪くなってしまいます。人は冬でも汗をかきますので、吸湿性の悪いふとんを使うとふとんの中がムレてきます。冬場のムレは短時間であれば温かいで済むのですが、長時間の場合は不快感に変わり最終的にふとんを掛けていられなくなります。


子供や男性が冬場で寒いはずなのに気が付くとふとんを掛けていないという現象の原因はほぼ間違いなくムレなのです。これでは体を冷やし、寒くて夜中に目が覚め快眠につながりません。


また、羽毛ふとんのリフォーム業者さんの話では、ポリエステル100%の側生地ではダウン独特の動物の臭いが中々落ちないと言います。綿とポリエステルが混ざった側生地では中身の吹き出しが早くなるとも言います。


質の良い羽毛ふとんを求める場合、側生地が「綿100%」であることに気を付けましょう。そして出来れば綿100%でもサテン織りの側生地が良いです。ツイル織りでは肌触りが硬く肌に沿いづらくなります。肌に沿わないと保温力が落ちます。


羽毛ふとん側生地


●その②「充填量(ダウン量)」

次にコストカットの対象になるのが製品に使われるダウンの充填量です。


羽毛ふとんという表記をする為の基準はダウン率だけです。そのダウンをどれだけの量を使用するかは関係ありません。つまり充填量(ダウン量)が300gでも1,300g(1.3kg)でも羽毛ふとんと表記が出来てしまうのです。


適切なダウン量はダウンの質にも関係しますので一概には言えませんが、原材料が高騰する前の冬用の羽毛ふとんに使われていた量は1.2~1.5kgが通常でした。ここ数年、価格を下げる為に作られた羽毛ふとんは当時よりも平均して200gほど少ないです。


ダウン量が減れば基本的に保温力が落ちます。しかし、適切な保温力は使う人の体質や寝室環境等とも関係しますのでダウン量が少ない事が必ずしも悪いことではありません。ただし、昔のダウン量の羽毛ふとんを知っている方が同じ感覚で使うと保温力の無さに驚くでしょう。


実際、通販や量販店で買った羽毛ふとんのダウン量が少なくて膨らまず使い物にならないという失敗談を何度か耳にしています。


タグ


羽毛ふとん選びの際は、上の画像の様な「品質タグ」を確認する様にしましょう。羽毛ふとんには必ず付いています。


また、大雑把に年代と性別で適切なダウン率とダウン量(シングルサイズの場合)の目安を表してみました。

年代と性別 ダウン率 ダウン量

10代男性 85% 1.2~1.3kg

10代女性 85~90% 1.2~1.3kg

20~30代男性 90~93% 1.2~1.3kg

20~30代女性 90~93% 1.3~1.4kg

40~60代男性 90~93% 1.3~1.4kg

40~60代女性 93~95% 1.2~1.3kg

70代以上男性 93~95% 1.2~1.3kg

70代以上女性 93~95% 1.2~1.3kg


あくまでも目安です。可能であればお近くの寝具専門店スタッフにとりあえず相談してみる事が一番です。


当店の場合、使う方個人の体質(筋肉質なのか、痩身なのか等)や今まで使ってきた寝具がどんなものか、使用する環境がマンションなのか一軒家なのか、新築なのかといった事もアドバイスする際には考慮します。


●その③「産地(ダウンパワー)」

それではここからは今年の選び方のポイントに加えた産地についてです。


当店としては「産地」を羽毛ふとんの選び方の要素に含めません。理由は羽毛ふとんの品質を産地で分ける意味がないからです。


中国産でも良い羽毛(ダウン)は存在しますし、ヨーロッパ産でも悪い羽毛(ダウン)は存在するからです。その為、当店では昔から産地を強調した販売はしてません。


この春からは店頭のポップからも産地表記を削除しました。大事なのは産地(生まれ)ではなく、目の前にある「羽毛の能力」だと考えているからです。


この羽毛の能力を計る指標が『ダウンパワー(dp)』です。昔の『かさ高』表記ともほぼ一緒です。(厳密に言えば違いますが…。)このダウンパワーの数値が高いほど、軽くて保温力のある羽毛ふとんを作れる能力があります。


基本はダウン率の良さとダウンパワーの良さは比例しますが、産地ではなくこの数値を目安にしましょう。ダウンパワーの最低は300で、最高は恐らく470です。


ポップ


●その④「実物の確認」

それでは最後のポイントですが実物を確認することです。


インターネットの発達や通販の普及によって、現物を見ない買い物が当たり前になってきました。


しかしながら「ちゃんとした羽毛ふとんを購入したい」「羽毛ふとん選びに失敗したくない」と考えるなら、羽毛ふとんの実物を見て、生地に触り、膨らみを確認し、販売する人間の目を見てみましょう。


インターネットや通販で販売されている羽毛ふとんの価格を寝具業界に関わる人間が見ると、どう考えてもおかしい価格なのです。商品の価格には必ず意味があり、その商品に関係する会社が廃業する様な事情でもない限りはそうそう値崩れはしません。特に自然素材を使った商品はそうです。


この春に問題となった産地偽装ですが、この様な相場を著しく逸脱した商品こそ疑わしいのです。


またネットに出回る商品のレビューや口コミは慎重に解釈しましょう。その人にとっての温かさは、その人が今までどの様な寝具を使ってきたかと関係します。また、使用してすぐの評価です。長期間利用した時にどうなっているかはレビューや口コミでは判断が難しいです。


羽毛ふとん現物


これら④点に加えて長期間良い状態を保ちたいのであれば、ダウンの種類はダックではなくグースの方が良いですし、もちろん予算だって関係してきますよね。②でも書きましたが、使う人のの体質や年齢、寝室環境に応じてベストな羽毛ふとんは変わります。


また、羽毛ふとんの材料は自然素材なので希少性(希少価値)も価格に含まれます。価格が高い羽毛ふとんが必ずしも保温力の高い羽毛ふとんとも言い切れないのです。


結局は「身近な寝具専門店に相談して下さい。」と、まとめたいところなのですが、寝具専門店が皆さんの身近に無いことがこの業界の最も反省すべき部分でしょう。


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当BLOG ⇒ 快眠アドバイス『2015年の羽毛ふとんの選び方』2015年9月28日

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当BLOG ⇒ 快眠アドバイス『羽毛ふとんの選び方』2014年10月13日

当店Webサイト内 ⇒ 『羽毛ふとんのリフォーム(仕立て直し)』

当BLOG ⇒ 快眠アドバイス 『羽毛ふとんのリフォーム(仕立て直し)の価格差について』2015年6月18日


by sleepdesigner:圭


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